糖尿病では独特の甘いにおいの尿が出ます
コーヒーやビタミン剤、にんにく料理を食べたあとなどに、尿が強くにおうことがあります。これらは異常ではありませんが、糖尿病の方は熟れた果物のような独特のにおいの尿が出ることがあります。これはインスリンが分泌されないために代わりに脂肪が分解され、このとき産生されるケトン体が尿に混ざるからだと考えられています。
糖尿病以外にも尿からは様々な情報が得られるため、毎日のトイレでのチェックは欠かさないようにし、異変に気づいたらご相談ください。
糖尿病の尿の特徴
色
糖尿病の方の尿はほぼ透明に近い色になります。高血糖の状態が続いてのどが渇き、水分をたくさん摂ることで尿の色が薄まっているからです。反対に色の濃い尿が出ると驚いて受診される方がいますが、糖尿病の可能性は低く他の疾患が原因だと考えられます。
ただし、糖尿病の方で水分補給を十分にできず、脱水気味になっているときは色の濃い尿が出ることがあります。
泡
尿に糖やたんぱく質が多く含まれると、泡立った尿が出ることがあります。たんぱく質が混ざって泡立った尿は、短時間では泡が消えないという特徴があります。泡立った尿が出たときは、泡が消えるまでしばらく観察してみてください。
糖尿病以外に考えられる疾患
尿の様子から様々な疾患の発見につながることがあります。糖尿病以外にも考えられる疾患があるため、においが気になる場合は受診しておきましょう。
細菌感染
尿道炎や膀胱炎など、細菌が感染することで尿がにおったり泡立ったりすることがあります。男性の尿道炎は、初期には無症状の場合がほとんどですが、尿のにおいのほかに排尿時の痛みなどを伴うようになり発覚することがよくあります。膀胱炎では、頻尿や残尿感などの症状が現れます。男性に比べて尿道が短い女性に多い疾患です。
尿路結石
前立腺肥大症や神経因性膀胱などの病気が原因で、尿が出し切れず残っていると雑菌から結石ができやすくなり、尿のにおいで気づくことがあります。超音波検査で確認し、場合によっては砕石治療が必要になります。
泌尿器がん
膀胱がん、尿管がん、腎盂がんなどのがん細胞や悪性腫瘍があると、尿がにおうことがあります。がんや悪性腫瘍の細胞は正常な組織よりも脆く壊れやすいため、少しの衝撃でも尿の中に漏れ出します。病変の位置を特定するため、しっかりと検査を行う必要があります。
脱水
水分摂取量が極端に少ないときや、下痢・嘔吐などで水分が奪われてしまうと脱水状態になります。体内の水分量が不足すると、腎臓は再吸収する水分量を増やし、尿を減らします。尿に排泄される老廃物の量は変わらないので、濃度が濃くなり、においが強いと感じることがあります。感染などの疑いはありませんが、適度な水分補給を心がけましょう。また、自力で水分を摂れないほどの脱水や意識混濁が見られる場合は、ただちに受診が必要です。