糖尿病腎症

糖尿病腎症

最も恐ろしい合併症と言われています

最も恐ろしい合併症と言われています

高血糖の持続は、腎臓にも大きな影響を与えます。腎臓は腰のあたりにあるソラマメ状の臓器で、血液中の老廃物をろ過して尿を作る働きをしています。この役割を担う腎臓の糸球体が高血糖によって障害されると、本来必要なたんぱく質などの成分が尿として排泄されてしまいます。さらに進行すると、糸球体のろ過機能が悪化して血液中に老廃物が溜まってしまうため、機械で血液をきれいにする透析治療が必要になることもあります。

糖尿病腎症は自覚症状なく進行し、命にもかかわるため、最も恐ろしい合併症と言われています。糖尿病の方なら腎症になる可能性は誰にでもあるので、早期の段階で気づき、進行を遅らせることが重要です。

糖尿病腎症の病期分類

糖尿病腎症の診断は、尿検査と血液検査によって行います。尿の中にどれほどたんぱく質(アルブミン)が排泄されているか(尿検査)、腎臓の糸球体がどれほど正常に機能しているか(血液検査)の結果で判断します。

糖尿病腎症は進行性の病気であり、以下のように分類されます。

尿検査
尿アルブミン値(mg/gCr)
あるいは尿たんぱく値(g/gCr)
血液検査
糸球体ろ過量:GFR(mL/分/1.73㎡)
自覚症状
第1期
(腎症前期)
正常アルブミン尿(30未満) 30以上 なし
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿(30~299) 30以上
第3期
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿(300以上)あるいは持続的たんぱく尿(0.5以上) 30以上 むくみ
第4期
(腎不全期)
問わない 30未満 手足のしびれ、息切れ、食欲不振、倦怠感などがでる場合も
第5期
(透析療法期)
透析療法中

糖尿病腎症の進行を予防するために

厳格な血糖管理

糖尿病腎症を根本的に治療する薬はまだなく、しっかりと血糖管理を行うことが進行予防の基本です。原則としてHbA1cを7.0%未満に保つべきとされていますが、高齢の方は低血糖を避けるため目標値をゆるめに設定することがあります。

血圧コントロール

血管への負担を減らすため、腎症に至る前から血圧をコントロールしておくことが重要です。収縮期血圧130mmHg未満、拡張期血圧80mmHg未満をめざしましょう。

食事は塩分・たんぱく質・カリウムに注意

たんぱく質や塩分は、摂りすぎると腎臓に負担がかかることがあります。また、腎臓の排泄機能が低下するとカリウムが溜まり不整脈の原因になることがあるため、進行具合によって制限しながら食事療法を行います。

食事の目安

たんぱく質 食塩 カリウム
第1期
(腎症前期)
目標体重あたり
20%エネルギー以下
高血圧があれば
6g/日未満
制限せず
第2期
(早期腎症期)
第3期
(顕性腎症期)
目標体重あたり0.8~1.0g/kg 3g/日以上、6g/日未満 高カリウム血症があれば2.0g/日未満
第4期
(腎不全期)
目標体重あたり0.6~0.8g/kg 1.5g/日未満
第5期
(透析療法期)
目標体重あたり0.9~1.2g/kg 適宜調整 2.0g/日未満

減塩の工夫

  • だしや素材の味を生かす
  • レモンや香辛料などを味付けのアクセントにする
  • 減塩調味料を選ぶ
  • 醤油や塩は、小皿に取ってつける
  • 汁物は具を多めに、汁を飲み切らない など
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