頻繁に起こる場合は一度検査しましょう
筋肉の伸縮バランスが崩れて痙攣することを「つる」と言い、「こむら返り」はふくらはぎがつっている状態を指します。
糖尿病の方はこむら返りになりやすい傾向があり、特に女性やインスリン治療中の方に多いと言われています。また、糖尿病でない方は夜に起こりやすいのに対し、糖尿病の方は昼間にも起こることが特徴です。
こむら返りが起きている数秒の間は言葉にならない痛みを感じ、夜間であれば睡眠の質に影響することもあります。糖尿病でない方も、頻繁にこむら返りに悩まされている場合は、一度検査しておくことをおすすめします。
糖尿病とこむら返りの関係
糖尿病とこむら返りの関わりは深いものの、はっきりとした原因はわかっていません。可能性として、以下の点が考えられます。
神経障害
糖尿病性神経障害の初期症状として、こむら返りが起こりやすくなることがあります。高血糖によって末梢神経に影響を及ぼされるからであり、重症になるとかえって起こりにくくなると言われています。
血流の滞り
健康な方でも冷えや脱水によって血流が悪い状態では、こむら返りになることがあります。血糖値が高いと血管が傷つき、血流が悪くなるため、特に糖尿病の方はこむら返りが起きやすいと考えられます。
電解質異常
ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの電解質(ミネラル)のバランスが崩れると、筋肉の収縮や神経の伝達に影響を与えます。糖尿病では血清マグネシウムの異常が起こりやすく、特にインスリン治療をしている方はマグネシウムが不足しがちです。
また、脱水が原因で電解質異常が起こることもあります。
糖尿病以外に考えられる疾患
こむら返りが頻繁に起こる場合は、糖尿病以外の病気も視野に入れ、放置しないことが大切です。
下肢静脈瘤
足の静脈が膨れて瘤のようになり、血流が滞ることで起こります。こむら返りは下肢静脈瘤の代表的な症状で、足の痙攣をきっかけに病気に気づくことも多くあります。下肢静脈瘤が進行するとこむら返りの頻度が低下しますが、原因はよくわかっていません。
腎不全
腎機能が低下すると電解質異常が起こり、足がつることがあります。透析治療をしている方は特によくこむら返りが起こると言われています。
心不全
心不全によって血行が悪くなり、体内の水分バランスが崩れて痙攣が起こりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群が原因で十分な睡眠が取れない日々が続くと疲労がたまり、筋肉の痙攣が起こりやすくなります。
甲状腺機能の異常
甲状腺ホルモンの分泌量が低下すると血行が悪くなり、足がつりやすくなります。
椎間板ヘルニア
加齢や激しいスポーツなどで椎間板(背骨同士の間にある)に変性が起き、脊髄の神経が圧迫する病気です。下肢に関連する神経が障害されるとこむら返りが起きやすくなります。