血糖値は変動するものです
健康診断で血糖値が高いと言われたからといって、すでに糖尿病を発症しているというわけではありません。血糖値は食事や運動などの影響を受けて変動するものです。一般的に健康診断で測定するのは空腹時の血糖値であり、変動の一部分を見ているだけに過ぎません。
正しい診断のためには、より詳しく検査をする必要があります。「症状がないから大丈夫」などと思わず、早めに当院にお越しください。
糖尿病の検査
血糖値の検査
血糖値を調べるためには、血液検査を用います。
項目 | 内容 | 糖尿病診断の指標 |
---|---|---|
空腹時血糖 | 10時間以上絶食した状態の血糖値です。食事の影響を受けず、変動しにくいタイミングでの測定で、インスリンの働きや治療の目安となります。 | 126mg/dL以上 |
随時血糖 | 食事時間とは関係なく測定した血糖値です。測定するタイミングで結果にばらつきがあります。 | 200mg/dL以上 |
75gブドウ糖負荷試験 | 空腹の状態で75gのブドウ糖を飲み、食後の血糖値の変動を調べます。30分後、1時間後、2時間後に血糖値を測定します。 | 200mg/dL以上 (2時間値) |
血糖値以外の検査
血糖値とともにHbA1cの値を調べることで、糖尿病の診断を行います。また、合併症を早期発見するために尿検査を行うこともあります。
項目 | 内容 | 糖尿病診断の指標 |
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HbA1c | 血液中のヘモグロビンと糖が結合したもので、1~2カ月間の血糖値の変動が反映されます。 | 6.5%以上 |
尿たんぱく | たんぱく質の主成分であるアルブミンが尿の中にどれくらい排泄されているかを調べます。合併症である糖尿病腎症のスクリーニングに使用します。 | 30mg/gCr以上 |
尿糖 | 尿の中に出た糖を調べます。血糖値が160~180mg/dL以上になると尿糖が陽性になると言われ、糖尿病の可能性を疑います。 | 陽性 |
pH | 尿が酸性かアルカリ性かを調べます。 | 酸性 |
ケトン体 | 脂肪が分解されてできたケトン体が尿に排泄されているかを調べます。糖尿病とすでに診断されていて血糖値が高くケトン体が出ている場合は、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な状態です。 | 陽性 |
注意したい「血糖値スパイク」
通常は食事の前後で血糖値は変動するものであり、食後にゆるやかに上昇したあと、インスリンの働きによって低下します。インスリンが不足したり働きが悪かったりすることで血糖値が下がらず、高血糖の状態が慢性的に続くのが糖尿病です。
まれに、食後の血糖値が急上昇したあとで急降下する「血糖値スパイク」を起こす方がいます。インスリンの分泌するタイミングが大きく関わっており、急激な変化が血管にダメージを与えるため、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。
空腹時血糖が低くても検査を
血糖値スパイクがある場合、健康診断で測定する空腹時血糖値には数値として現れず、見逃されやすいという特徴があります。そこで有用なのが、75g経口ブドウ糖負荷試験です。血糖値の変動を把握し、血糖値スパイクに気づくことができます。
HbA1cの値から糖尿病が疑われる方、炭水化物中心の食事をしていたり早食いが習慣になっていたりする場合は、一度検査してみましょう。
※ブドウ糖負荷検査を希望される場合は、事前のご予約が必要です