HbA1cが⾼い

HbA1cが⾼い

糖と結合したヘモグロビンの割合です

糖と結合したヘモグロビンの割合です

赤血球の中にあるたんぱく質の一種「ヘモグロビン」は、全身の細胞に酸素を送る役目があります。このヘモグロビンが糖とくっついて「糖化ヘモグロビン」になると、体内で処理されるまでの120日間ほどの寿命の間、元に戻ることはありません。
HbA1cは糖化ヘモグロビンがどれくらいの割合で存在しているかを表しています。血糖値が高い状態では、ヘモグロビンと結合するブドウ糖の量が多くなり、HbA1cが高い値を示します。
HbA1cは、糖尿病の重要な指標の一つです。血液検査で指摘された方は、放置せず詳しい検査をしてみましょう。

血糖値とHbA1c

糖尿病の診断には、血液検査によって調べた血糖値とHbA1cの値の両方が用いられます。

正常型 糖尿病の疑いあり 糖尿病と診断
空腹時血糖値 100mg/dL未満 110~125mg/dL 126mg/dL以上
HbA1c 5.6%未満 5.6%~6.4% 6.5%以上

検査を行うと、血糖値は低いのにHbA1cだけが高いという結果が出ることがあります。
実は血糖値は検査前に少しだけ食事や運動に気をつけることで、ある程度低い数値にすることが可能です。一方で、HbA1cは過去1~2カ月間の血糖値の平均を反映させた数値が出るため、検査直前の付け焼き刃の食事制限や運動などの影響は受けないのです。
そのため、血糖値とHbA1cを一緒に見ることで、より正確な診断ができるのです。

HbA1cの目標値

すでに糖尿病と診断されている方は、食事・運動・薬物療法によって、良好な血糖コントロールをめざします。血糖値は様々な影響を受けて1日の中でも変動するため、HbA1cの値が指標として役立ちます。
なお、65歳以上の高齢者は心身機能の個人差が著しいため、血糖コントロールの目標値が別で作成されています。

血糖コントロールの目標値

対象 HbA1cの値
血糖値正常化をめざす際の目標 食事・運動療法のみで達成可能もしくは薬物療法で低血糖などの副作用がなく達成可能な方 6.0%未満
合併症予防のための目標 空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満が目安 7.0%未満
治療強化が困難な際の目標 低血糖などの副作用やその他の理由で治療の強化が難しい方 8.0%未満

高齢者の血糖コントロール目標値

HbA1cの値
認知機能正常
かつ
日常生活動作(ADL)自立
重症低血糖が危惧される薬剤の使用 なし 7.0%未満
あり
(65歳以上75歳未満)
7.5%未満
あり
(75歳以上)
8.0%未満
軽度認知障害~軽度認知症
または
手段的ADL低下、基本的ADL自立
なし 7.0%未満
あり 8.0%未満
治療強化が困難な際の目標 なし 8.0%未満
あり 8.5%未満

日常生活動作(ADL)とは

日常生活を送るために最低限必要な動作のことを言い「できる・できない」「どれくらいの介助が必要か」などの項目で評価します。

  • 基本的ADL:食事、着替え、排泄、入浴、移動など
  • 手段的ADL:掃除、料理、洗濯、買い物、服薬管理など

糖尿病以外に考えられる疾患

HbA1cが高いことで考えられる疾患は、糖尿病以外にもあります。

異常ヘモグロビン症

HbA1cの数値から発見されることが多い、ヘモグロビンの構造や産生に影響を及ぼす遺伝的な疾患です。軽症例なら問題ありませんが、重度では輸血が必要なほどの貧血を起こすことがあります。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンの分泌が低下すると、基礎代謝が低下し、赤血球の寿命を延ばし、HbA1cが高値になることがあります。この場合は、甲状腺ホルモンの検査を受けましょう。

腎不全

腎臓の機能が低下すると体内に老廃物が溜まってしまい、HbA1cが高くなります。糖尿病と腎不全は関わりが深く、どちらも血糖コントロールが進行予防につながります。なお、透析患者になると、逆に低くなることもあります。

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