尿のトラブルにお困りなら一度検査を
一般的に、朝起きてから寝るまでの間に8回以上トイレに行くような状態を頻尿と言います。尿の回数や量の増加は、糖尿病の代表的な症状です。ただし、尿のトラブルがあるからと言ってすぐに糖尿病と診断されるとは限りません。基準に満たない場合でも、尿の回数やスッキリしない感じなどがあれば糖尿病を含めた幅広い疾患を疑い、一度検査しておきましょう。
糖尿病と頻尿の関係
糖尿病で尿の回数や量が増えるのは、大きく2つの原因があると言われています。
高血糖の影響
そもそも「血糖値が高い」というのは、血中のブドウ糖が多く、血液がドロドロしている状態です。血液がドロドロのままでは脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるため、体は血中の濃度を下げようと水分を欲します。のどが渇いて水をよく飲むようになるため、尿の量や回数が増えるのです。
末梢神経の障害
糖尿病が進行すると、排尿を管理する末梢神経に障害が起こることがあります。膀胱の機能を適切にコントロールできなくなり、膀胱がいっぱいになる前に尿意を感じたり、夜間に頻繁にトイレに起きるようになったりします。
糖尿病以外に考えられる疾患
尿の回数や量が多いからと言って、必ずしも糖尿病であるわけではありません。まずは検査を受け、適切な治療を行うことが大切です。
習慣性頻尿
「出かける前や人に会う前には必ずトイレに行く」「心配だからこまめにトイレに行く」という人は、膀胱がためることのできる容量よりも早く排尿してしまうことで、排尿回数が増えている可能性があります。習慣的なものであり、特に病気の心配はないのですが、気になる場合は自宅などの安心できる場所でトイレを我慢してみることで改善が期待できます。
過活動膀胱
突然強い尿意が起こる、我慢しようとすると尿漏れが起きるなどの症状があれば、過活動膀胱を疑います。尿が十分にたまっていない状態で膀胱が活発に活動してしまうために起こるもので、前立腺肥大症や尿路感染症、結石、膀胱がんなどの原因が考えられます。
不完全尿閉
尿意があってトイレに行ったのに残尿感があり、またすぐにトイレに行きたくなる場合は、不完全尿閉の可能性があります。出し切っていない尿が膀胱に残っているため、すぐに尿が充満してしまう状態で、腎機能に影響を及ぼすことがあります。前立腺肥大症や子宮がん、直腸がんなどが原因になり、放置すると重篤な状態に陥ることもあるため注意が必要です。
夜間頻尿
夜間に1回以上トイレのために起きることを夜間頻尿と言います。何度も目が覚めるので睡眠の質が低下したり、大きなストレスを感じたりすることもあります。
70歳以上の方は夜間頻尿の割合が高く、加齢が第一の原因とされる一方で、前立腺肥大症や過活動膀胱などによって膀胱に尿がためられない状態になっている可能性もあります。「年齢のせい」と諦めず、一度検査しておきましょう。
多尿
1日の尿量が3L以上ある状態を多尿と言います。膀胱や尿道の異常、薬の副作用などのほか、美容のためや血液をサラサラにするために過剰に水分を摂取して起こる場合もあります。