メリット・デメリットを正しく理解する
糖尿病は、血糖をコントロールするために食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて治療します。正しく治療に取り入れることで改善が見込める一方で、体調や環境に合わせて治療方法を変えていかなければ、悪化の原因になることもあります。
当院では、患者さんが無理なく続けられる方法を探りながら、責任を持って指導することを心がけています。気になることはお気軽にご相談いただき、糖尿病と上手に付き合っていきましょう。
食事療法
食事療法は糖尿病治療の基本です。すでに糖尿病と診断された方だけでなく、糖尿病予備軍の方や健康な体づくりをしたい方にもバランスのよい食事は欠かせません。
食事療法ではまず、適正なエネルギー量 を知ることから始めます。以下の方法でご自身のエネルギー量を算出してみましょう。(高齢者の方などは当てはまらない場合もあります。その際は個別で対応いたします)
適正な摂取エネルギー量(kcal)=標準体重(kg)×身体活動量 | ||
---|---|---|
標準体重の求め方 | 身長(m)×身長(m)×22 | |
身体活動量 | 25~30 | 軽い労作(デスクワークの多い職業) |
30~35 | 普通の労作(立ち仕事が多い職業) | |
35~ | 重い労作(力仕事が多い職業) |
食事療法のメリット
- 血糖値の急激な変化を防ぎ、合併症のリスクを減らす
- 肥満を解消することで、インスリンが効きやすくする
- 脂質異常症や高血圧などの管理に役立つ など
食事療法のデメリット
- 適切な管理が必要になり、手間に感じることがある
- 食事習慣を変えることでストレスを抱えることがある
- 食事療法を中止してしまうと悪化のリスクが高まる など
運動療法
運動療法は食事療法と組み合わせ、比較的手軽に始められる治療方法です。しかし、合併症がある方や年齢、病状によっては制限が必要になる場合もあるため、相談しながら進めていきます。
一般的に糖尿病を改善させる運動として推奨されている 目安は、以下のとおりです。
運動種目 | 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など) | レジスタンス運動(腹筋、腕立て伏せ、スクワットなど) |
---|---|---|
運動強度 | 「ややきつい」と感じる程度 他人と話しながら続けられる程度の脈拍数 |
|
運動頻度 | 週に150分以上もしくは週に3回以上 ウォーキングの場合、1日10,000歩が望ましい |
連続しない日程で週に2~3回 |
運動療法のメリット
- 筋肉量が増加し、糖の処理能力アップが見込める
- エネルギーの摂取と消費のバランスが取れ、肥満の改善・防止になる
- 関節や骨を強くしたり、心臓や肺の機能を高めたりする など
運動療法のデメリット
- 低血糖が起こることがある
- 合併症が見られる人は制限がある
- 適量を見誤ると糖尿病が悪化したり新たな合併症を引き起こしたりする可能性がある など
薬物療法
食事療法・運動療法によって改善が見られない場合は、薬物療法を検討します。
インスリンの分泌を促進する薬、インスリンの働きをよくする薬、糖の吸収と排泄を調節する薬、不足したインスリンを直接補う薬など様々な種類があり、症状や進行の程度によって選択します。
メリット
- 血糖値のコントロールがしやすくなる
- 合併症のリスクが低下する
- うまく使うことで減薬や服用中止も可能 など
デメリット
- 各々の薬剤による副作用が出ることがある
- 薬が効きすぎると低血糖の危険がある など