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【解説】75gOGTT検査の結果について

2025.06.23

こんにちは。今回は「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」についてご紹介します。この検査は、糖尿病やその予備群の診断において最も信頼性が高い検査とされており、病状の早期発見や治療方針の決定に役立ちます。

75gOGTTとは?

この検査は、健康診断よりも詳しく血糖値の動きやインスリンの反応を確認できる、より精密な検査です。
75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)は、糖尿病や境界型(予備群)を調べる検査です。
膵臓がインスリンをどれだけ分泌しているか、またそのインスリンが体でうまく働いているか(インスリン感受性)を詳しく評価できます。
さらに、妊娠糖尿病のスクリーニングや診断にも使用される検査です(※診断基準は通常の糖尿病と異なります)。

検査方法と注意点

🕒検査前の準備

前日の夕食後から10時間以上絶食してください(検査当日は朝食をとらずにご来院ください)。
水分は水のみ可。糖分・カフェイン・アルコールは避けてください。
午前9時頃に検査開始できるのが理想的です。検査時間は約3時間程度です。

🔬検査の流れ

1. 空腹時に採血(血糖・インスリンなど)
2. ブドウ糖75gを含んだ甘い飲み物を服用(炭酸水で、ソーダのような味で比較的飲みやすいです)
3. 飲用後は、下記のタイミングで採血を行います(※空腹時と合わせて計4回の採血となります)
– 30分後
– 60分後
– 120分後
このように時間ごとの血糖とインスリンの推移を確認することで、血糖調節に関わるさまざまな異常を見つけることができます。

📝検査後の注意点

検査終了後、一部の方ではインスリンが多く分泌されることで低血糖気味になり、めまいや脱力感が出ることがあります。

  • 検査後は軽食(おにぎりやパンなど)を摂ることをおすすめします。
  • 気分がすぐれない場合やふらつきがある場合は、すぐにスタッフまでお申し出ください。

75gOGTTの判定区分

75gOGTTでは、以下の2つの血糖値をもとに判定が行われます。

  • 空腹時血糖値(FPG)
  • ブドウ糖負荷後2時間血糖値(2時間値)

これらをもとに、日本糖尿病学会の判定基準により以下のように分類されます。

判定区分 空腹時血糖(mg/dL) 2時間値(mg/dL)
正常型(Normal) <110 <140
境界型(Borderline) 110~125 または 140~199
糖尿病型(Diabetes) ≧126 または ≧200

さらに境界型は、次のように細分されることがあります。

  • IFG(空腹時血糖異常):空腹時血糖が110~125、2時間値が<140
  • IGT(耐糖能異常):空腹時血糖が<126、2時間値が140~199

いずれか一方でも基準を満たす場合には、より高いリスク群として判定されるため、定期的なフォローや生活習慣の改善について医師と相談しながら対応しましょう。

評価に使われる指標

検査結果から、以下のような評価指標を算出します。これにより、より詳細な状態の把握が可能です。

HOMA-R(ホーマアール):インスリン抵抗性

インスリンの効きやすさを評価
高いほど抵抗性があることを示します(目安:>2.5は抵抗性あり)

HOMA-β(ホーマベータ):膵β細胞機能

インスリンをつくる力(分泌能力)を評価
低いほど分泌能力が低下していると考えられます(目安:40~60以上)

IGI(インスリノジェニックインデックス):インスリン初期分泌能(初期の分泌反応)

食後すぐのインスリンの反応性を評価
0.4~1.0程度が正常範囲。0.4以下は糖尿病へ移行しやすいとされています。

これらの指標を総合的に評価することで、インスリン分泌の不足なのか、インスリンの効きにくさ(抵抗性)なのかを見極めることができます。

検査がすすめられる方

以下のような方には、75gOGTTをおすすめすることがあります。

  • 健康診断などで「血糖値が高め」と言われた方
  • ご家族に糖尿病の方がいる方(家族歴)
  • 妊娠中に尿糖が出た方、または体重増加が急だった方
  • 空腹時血糖やHbA1cが「ほぼ正常だけど少し高め」と言われた方

最後に:検査の意義を知る

75gOGTTは、糖尿病の有無だけでなく、その原因や背景を明らかにする「非常に有用な検査」です。
特に、境界型や初期の糖尿病では健康診断の空腹時血糖やHbA1cだけでは見逃されるケースもあります。

📌 定期的な検査と早めの対策が、将来の合併症リスクを減らす第一歩です。
気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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