糖尿病とがんの関係

糖尿病とがんの関係

糖尿病の人はがんにかかりやすい?

糖尿病の人はがんにかかりやすい?

生涯でがんになる人は2人に1人、がんで亡くなる人は4人に1人と言われるほど、がんは身近な病気です。そして、糖尿病とがんには深い関係があることがわかってきました。
日本人では大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高まるとされ、海外では子宮内膜がん、乳がん、膀胱がんとの関連も指摘されています。
糖尿病の人ががんになると、そうでない人に比べ予後が悪いという報告もあり、糖尿病を予防することはがんのリスクを下げることにもつながるのです。

糖尿病のがんリスク

日本国内で行われた約10万人を対象にした研究があります。研究開始時点で「過去に糖尿病と診断されたことがある」と回答した人とない人を約10年間追跡し、がん発生率を比較しました。その結果、糖尿病の既往がある人はない人に比べ、20~30%ほどがんにかかりやすいということがわかったのです。
以下は、糖尿病の既往がない人を1とし、糖尿病の既往がある人のがんリスクを示したものです。ただし、調査の途中で糖尿病と診断された人は既往なしとみなしており、またウイルスや菌などの感染状況は考慮されていない点に注意が必要です。

がん全体 男性 1.27倍
女性 1.21倍
男性 肝臓がん 2.24倍
腎臓がん 1.92倍
膵臓がん 1.85倍
大腸がん 1.36倍
胃がん 1.23倍
女性 肝臓がん 1.94倍
胃がん 1.61倍
卵巣がん 2.42倍

糖尿病でがんのリスクが上がる理由

インスリン濃度

Ⅱ型糖尿病の人はインスリンが効きにくい状態です。これを補って血糖を下げようとするため、血液中のインスリン濃度が高まります。インスリンには細胞を増殖させる作用もあるため、がんの発生や増殖に関与してしまうのだと考えられています。
ただし、インスリン注射ががんの発生に関わることはないと言われています。

血糖値

呼吸によって取り込んだ酸素の一部は活性酸素となり、体内の物質を傷つけてしまいます。これを「酸化ストレス」と言い、酸化ストレスが亢進した状態は、老化や動脈硬化などの重要な原因になります。
糖尿病でない人にも酸化ストレスの影響はありますが、血糖値が高いと酸化ストレスが強くなり、がんを引き起こしやすくなると考えられています。

肥満

Ⅱ型糖尿病に肥満を伴っている場合、蓄えられた脂肪には無症状ながら全身に慢性的な炎症が見られることがあります。これががんのリスクを上昇させるという指摘があります。
また、脂肪細胞から分泌される「アディポネクチン」という物質は、がんを抑制する働きがあります。肥満度が高い人ほど血中濃度が低いため、がんの発症リスクにつながると言われています。

糖尿病とがん予防

糖尿病ががんの発症に影響すると同時に、生活習慣によって両方を併発することもあります。バランスのよい食事、適度な運動、禁煙・節酒などを心がける、肥満の解消に取り組むなど、生活の見直しが糖尿病とがん、両方のリスク軽減につながります。

当院では、がんの見落としを防ぐため、胸部レントゲンの画像を自動解析し、病気が疑われる場所を検出・マーキングするシステムを導入しています。すでに糖尿病と診断されている方も、上手に血糖コントロールを行いながら定期的に検査をすることで、がんの発症を防ぎましょう。

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